工程短縮

工数削減の重要性

全く同じ製品を作るのであれば、長時間かけないと作れないのと短時間で作れるのとを比べれば、短時間で作れた方が有利であることは言うまでもありま せん。
まず、同じ製品を短時間で作ることができるのであれば、納期を短くすることができます。注文したら翌日に製品が届くのと、注文した後で商品が届くのが1週 間後になるのとを比べれば、やはり翌日に商品を届けてくれる方を選ぶのが普通でしょう。
同じ製品で仮に商品が届くのが一週間後になったとしても、それで値段が安ければお客さんは買ってくれるのではないか?と考える人もいるかもしれません。し かしここに落とし穴があります。
製品を作る時間が長いよりも、製品を作る時間が短く済む方が、製造費用が安く済むのです。製品を作るのには人手がかかり、人手がかかると人件費が発生しま す。製造時間が長時間かかる、すなわち一つの製品を作るのに人が長い時間をかける必要が出るようになれば人件費が高くなります。短い時間で製品を作れるの であれば人件費が安く済みます。
仮に納期が長くなる分、商品の販売価格を低くしようとすれば、高いコストをかけて作った物を安く売らなければならなくなります。
短期間で作れるところは、低コストで作った物を高く売ることができます。
これでは最初から勝負にならないことは明らかです。
製造や、その他の業務にかかる時間をどれだけ短縮できるかということが一つのポイントになります。

工数を削減する方法

工数を削減するための理論については書籍でもある程度理論は書かれていますが、ここでは端的に実務の中で工数を簡単に削減できるポイントを紹介しま す。

クリティカルパスの分散・短縮

一つの製品を組み上げる複数の工程の中で、その工程が遅延すると製品全体のスケジュールも遅延する工程をクリティカル・パスと言います。一般的にク リティカル・パスは工程の中で最短の工程ルートと呼ばれており、一見不動の工程プロセスに見えますが、実際にはクリティカル・パスと思われていた工数をさ らに短縮することができたり、あるいはクリティカル・パス内の工程をさらに複数に分割し、その仕事を複数のスタッフに分散することでスケジュール全体の日 数を削減することができる場合があります。工数の中の最短経路と呼ばれていたものを短縮することができれば、それが全体の納期短縮につながることは言うま でもありません。またこの作業によって、クリティカル・パスに含まれていた工程が、非クリティカル・パス化される場合もあります。
なおクリティカル・パスに限らず、工程はブロック単位でできるだけ分散化することができれば工程の組み方が柔軟になり、より効率的な工程を組めるようにな ります。

空き時間の短縮

業務の中で意外に多いのが空き時間です。空き時間にも色々な種類があり、前工程が仕上がってくるまでに本当に数十分以上の時間が空く場合もあります し、あるいは機械加工などで、一つの製品を加工してから次の製品が流れてきて加工するまでのわずか数秒の空き時間である場合もあります。この空き時間を短 縮したり、あるいはその空き時間の間に他の作業をすることができれば、当然スタッフの稼働率が上がり、利益が高くなります。
ここで重要になるのがクリティカル・パスの分散作業です。作業にかかりっきりにならなければならない時間が、作業の分散化によって短くなれば、わずかな手 空きの時間でもその作業をすることができるようになります。
手空きの時間を作らないようにすることが重要です。

不良率の減少

工程の中で不良が発生すると、その不良品の除去や手直しに時間を取られます。手直しに時間を取られるだけならまだしも、手直しに時間がかかることに よって工程全体がストップしたり、それによって計画が大幅に狂って作業が混乱し、その混乱の収拾にさらに時間を取られるということになる可能性もありま す。
不良率が減少すれば、このような混乱も減少し、作業がスムーズに進みますから時間が短縮化されます。

機械の利用

機械を利用することによる工程短縮のメリットは2種類あります。まず作業時間そのものの削減。もうひとつは、機械によって自動的に手順を進行させる ことで不良率を減少させること。したがって機械化した後でも不良率がある程度出るようであれば、機械化するメリットはあまりありません。機械化で工程を短 縮したところで、その後の検査等で、結局手間がかかるからです。
機械化する場合も、工程の全てを自動化する必要はありません。人間が手作業するほかに、ある程度ルーチン化できる一部分の業務を機械で加工させ、半完成品 を再度手直しする方法もあります。この方法であれば、機械作業の導入範囲を幅広く取ることができるようになります。

生産に合わせた設計

一般的には商品の設計図が先にあり、その設計図に従って生産をします。しかし設計図通りに作業をすると、どうしても作業の手間がかかる部分が出るこ とがあります。その場合、生産作業をおこないやすいように設計図を変更する場合があります。商品の性能に影響しない範囲で設計仕様を変更する場合が大半で すが、性能が若干落ちることは甘受した上で設計変更する場合も稀にあります。商品の性能がそれによって若干落ちても、それを上回る生産手順の改善とコスト ダウン効果が見込まれるのなら、そのような改変をする価値があるという考え方をします。

移動時間の減少

人間が移動する時間は有用なように見えますが、実際には移動している間、生産作業は停滞しています。人間が歩く距離や歩く時間を減らすことができれ ば、それだけ生産作業中の無駄も減少します。人が頻繁に移動しなくても生産ができるように、機械類の配置を修正したり、コンベアや台車を利用したり、その 他生産治具を活用したりします。

全体的な改革より部分的な改革を優先する

作業時間短縮のための改革は、全体を見据えた改革をする前に部分的な変更をおこなうことから優先します。生産ライン全体を見直した上での効率化は準 備時間がかかり、また導入時にコストがかかるのが一般的です。部分的な改善であれば準備時間やコストはほとんどかかりません。そして部分的な改善を始めて それによって作業時間が減少すれば、それによって空き時間が生まれたりコストの改善効果が見込めます。その部分改善によって生じた余剰時間やコストの余裕 をリソースにしてライン全体の改革に取り組むのがリスクの少ない改善方法であると言えます。

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