広告・販売促進

マーケティングとは一致しないセリングという分野

マーケティング的に市場を分析し、どのような商品であればどれだけの売上が見込めそうかを確認した後は、いよいよ商品の告知をし、宣伝をする作業に 入ります。
このような商品の広告・宣伝のことを、マーケティングとは切り離してセリングと言う場合もあります。
マーケティングとは、ユーザーが受け入れやすい商品を開発・販売することですが、セリングはもっと範囲が狭く、(ユーザーが受け入れやすいかどうかは別と して既に存在する)商品を、(既に開発済でもう変更は効かない状態なので)販売量を増やす工夫をするプロセスになります。
売れる商品であっても売れない商品であっても、販売量を増やすための工夫をするのがセリングではありますが、もちろんマーケティング的観点から見てある程 度の数が売れることが確実である商品の方が、販促をかけた時の効果も大きくなります。

モノは魅力を伝えなければ、商品にならないただのモノ

マーケティング的商品開発では、商品にコンセプトを設定する必要があるということは前項で記述した通りです。
しかし販促を仕掛けていない時は、そのコンセプトを知っているのはその商品の開発に関わった人だけです。
たとえば「家族で旅行に行くための車」というコンセプトで車を開発したとしても、そういうコンセプトだということを顧客に告知しなければ、顧客はそういう 車なのだということを理解できません。
そういうコンセプトを一切伝えていない段階で、顧客が何かの拍子に「家族で旅行に行くための車」を見たとしても、顧客は「あまり見たことがない車がある」 というくらいの認識しか持たないでしょう。
同様に、仮に設計・開発陣が「家族で旅行に行くための車」を開発したとしても、宣伝の段階でそのようなコンセプトを一切伝えないまま、たとえば「安い車で す」と宣伝してしまえば、顧客はその車を見て「家族で旅行に行くための車」だとは認識せず、「安い車」と認識します。そして他の安価な車と見比べて、どれ が自分にとって最適であるかを考えるでしょう。もちろんそのようなことになれば、最初から「安い車」を目指して開発され、「安い車」であると宣伝されて顧 客にもそう認知されている商品に、勝てるはずがありません。
このように販促・宣伝をおこなう場合には、「これはこういう商品である」と正確に認知させる必要があります。

もちろんそのようにコンセプトを認知させる広告作りをどう作るかという方法論は、また別の話になります。たとえば「家族で旅行に行くための車」であるなら ば、「この車は家族旅行に最適です」と言うよりも、家族がにこやかに笑って車に乗っているイメージ映像を使うほうが、より効果的に「家族で旅行に行くため の車」であると認知させることができるかもしれません。
とは言えそれならば小手先のイメージ映像を使えばそれで売上が上がるのかと言えばそういうわけでもなく、広告において根底にあるコンセプトといかに一致し ているイメージを提供できるのかということが重要になります。根底にあるコンセプトと、広告に使われている宣伝手法のやり方が一致していればしているほ ど、顧客にはっきりとコンセプトを伝えることができ、その分そのコンセプトを求める顧客をひきつけることができます。逆に、商品のコンセプトと宣伝手法の やり方がバラバラの方向を向いていれば、それだけ伝えることができるコンセプトのイメージが散漫になり、顧客の購買意欲を高められないことになります。競 合他社は数多くいますので、明らかにダメというレベルでなくても、もう一つコンセプトがよく分からない商品というだけで、競合他社の製品と比較された挙句 に顧客から切り捨てられることになります。

イメージが散逸した商品

もう一つ、これはマーケティングとも関連する話になりますが、購買顧客層をできるだけ幅広く取ろうと、複数のコンセプトを同時に一つの商品に詰め込 んでしまおうとすることがよくあります。AとBの二つの要素を一つの商品に詰め込めば、Aの要素が欲しい人もBの要素が欲しい人も買ってくれるだろうとい う期待ですが、このような方法はうまくいかないのが普通です。AまたはBの要素が欲しい人が買ってくれるだろうと販売側は期待するわけですが、実際にはA の要素とBの要素の両方が同時に欲しいという人しか買いません。また、販売側としてはAとBの両方をPRしたつもりでも、その広告を見た人はその両方のイ メージを中途半端にしか受け取れず、漠然とした商品イメージしか思い描けないことにもなり、購買意欲が低下しがちです。当然、それに応じて売上は減少しま す。

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