前書き

前書き

インターネットによって、様々な情報を気軽に見られるようになりましたが、それによって歴史の一次史料もホームページ上にアップロードされる事例も ちらほら見受けられるようになりました。

これまでは歴史について興味があり、歴史をもっと知りたいと思っていた場合でも、できることと言えば書店で売られている歴史の本を買うのがせいぜいでし た。
しかしこれらの本は、大抵は歴史家が調べたものを出版しているものであり、その内容は歴史家が解釈したストーリーをたどったものにすぎません。
このように歴史家が歴史的事実を編集し、歴史に対する自分の意見を提示した資料を二次史料と言います。このような二次史料は、他人の歴史に関する意見を知 ることができるという点では有用ですが、歴史そのものに実際に触れることができるわけではありません。歴史家が自分の論に関係ないからと無視した資料、引 用しなかった資料もたくさんありますし、その中に歴史的事実が埋もれていることも多々あるわけです。

実際に歴史の中に生きた人達が書き残した資料。歴史的人物が書き残した記録や、その時代に作られた様々な資料。これらを一次史料と呼びます。

一次史料は、もちろんその時代の人が後世のことを考えて記録を残すようなことは稀です。しかしその時代に起きていた事実が、誰にも手を加えられることなく 明らかになっていることも、確かなのです。
後は、その一次史料が示す断片的な事実同士をつなぎ合わせていけば良い。その時代に起きた事実と事実をつなぎ合わせていくと、誰も知らなかったその時代の 真実が見えてくる……かもしれない。
そこに浮かび上がってくるのは、評論家が示す歴史の教科書には載っていない、生の歴史的事実・歴史の真実なのです。

そういうことで、私はそのような一次史料に直接触れることによって得られる歴史の真の面白さを皆さんに感じてもらいたいと思い、また、太平洋戦争が始まる 時代に何が起きていたのか、当時の歴史を正確に研究するために、あえて一次史料のみを引用 する形での歴史論を展開することにしました。

私の展開する歴史論を読んで、この論は歴史の真実を反映していると思われるのも、この論は史料の解釈の仕方を間違っていると思われるのも、あなたの自由で す。しかしあなたが私の論に反駁するのであるならば、あなたは同じように一次史料を引用して、その史料をどのように解釈すべきなのかということを提示しな ければならない。そのために一次史料を引用し、紹介しているのですから。
私の展開する歴史論に反駁する論拠として、他の誰かがこんなことを言っていたとか、先入観を前提とした他の誰かの思いこみをそのまま記述するのはやめて頂 きたい。私は歴史の中にある事実を根拠として提示しているのですから、あなたもその事実に反論するのであるならば、私の提示した歴史的事実の解釈のどこが どう間違っているのかをきちんと指摘しなければならない。

それが学問としての歴史に対し、あるべき姿です。

またそれは同時に、世の中の事実に対し、あなたがどう接しようとしているのかということの裏返しでもあるのです。

芦原 豊


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